アンジェラ・ビーチング氏講演

先週、ニューヨークの マンハッタン音楽院 からアンジェラ・ビーチングさんが来日され、国立音大でもいくつかの講演をされました。
アンジェラ・ビーチングさんは、講演の合い間に、私のレッスン室にもお寄りくださり、ひとときご一緒させていただきました。
たまたま私の4階の私のレッスン室の窓からの風景は、銀杏の木々が黄金色に輝き、遠くに見える山の稜線がくっきりと見える最高の秋晴れ。
「最高のロケーションね。あなたは、この部屋を獲得するために、ファイティングした?」
と、ユーモアたっぷりにおっしゃり、おだやかなスマイルでゆったりと学生にも話しかけられる柔らかな物腰のお優しい雰囲気の女性でした。
ボストン大学、ニューイングランド音楽院修了、ニューヨーク大学で博士号という肩書からは、いかついキャリアウーマンというイメージが浮かぶのですが、ご本人の印象はその逆でした。
ご自身チェロを専攻されておられたそうですが、キャリア支援活動を展開されてこられ、
『BEYOND TALEMT 音楽家を成功に導く12章』を数年前出版されました。
現代の音楽大学は、取り巻く環境が困難であってもアーティストとして外に出れるかどうか、の分かれ道を突破していく場でもあります。大学教育は、学生の大きな夢をはぐくみ、思い描いた人生を歩んでいるか、を常に問いかけながら、メンタルな面でも支えていくことが求められます。
今日は、「音大生のためのキャリア支援」という演題で、社会と大学のつながり、総合的カリキュラムの必要性を説いておられました。
よく「0000馬鹿」という言葉でくくられますが、専門以外のことは何もわからないことを一見馬鹿にしていながら、それをよしとする含意も垣間見えます。何となくゆるい雰囲気の中に安住してもよいような響きです。
しかしビーチング氏は、生きていく能力、時間の使い方、社会との関わり、税金や法律などのビジネススキルをを学ぶことが大切だと説かれます。それらさまざまなスキルを持っていないと、音楽家も、実際には、音楽家としてのキャリアを積んでいくことができない、というお考えです。

大いに同感することの多い講演に万来の拍手がおきました。

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