富良野GROUP「明日 悲別で」

富良野GROUP2013年冬・公演「明日 悲別で」 を、富良野演劇工場で観ました。
作・演出は、倉本聡さんです。
「演劇工場」という名前からは、寒くて薄暗い、黒テントのような雰囲気を想像していたのですが、立派な劇場でした。芝居には理想的な広さと空間です。

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北海道には、昔、炭鉱がたくさんありました。石炭の時代が終わりを告げ、次々と閉山となっていきました。
00別 という地名の多くは、炭鉱と結びついています。「悲」という文字が「別」につけられ、タイトルからして今回の演劇の内容の重さを暗示しているような予感を感じながら会場に入りました。
20年前に閉山した炭鉱の町「悲別」を舞台に、散り散りになった若者たちが登場します。昔、地下300メートルの坑道に埋められた「希望」という名のタイムカプセル。このタイムカプセルをめぐって、ドラマがショッキングに、そして、ファンタジックに展開されていきます。

富良野演劇工場のお芝居は、以前「谷は眠っていた」を東京で観たことがありますが、今回は、ここ富良野での観劇体験。
幸運でした。
1列目のかぶりつきということもあって、自分もその場に居合わせているような興奮と感動を覚え、終わってからもしばらく椅子を立てない感じでした。自分とはまるで関係がないかに見える世界が、現実感を帯びて迫ってくるのです。
根っ子に深い悲しみと行き場のない苦しみがあり、そういう重い題材なのですが、エネルギーとともに、優しさやぬくもり、懐かしさなどがあり、語り部の老婆の笑いありで、舞台から元気をもらうことができた2時間でした。
倉本ワールドが体現された素晴らしい舞台でした。
せりふまわし、体の動き、表現方法など、演劇の世界は、演奏と共通点が多いことを感じることができたひとときでもありました。

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