山田洋次監督×久石譲先生 トークセッション

国立音楽大学オーケストラスタジオで、映画界の重鎮、山田洋次監督と、今最も忙しい作曲家、久石譲先生の対談が実現しました。
山田監督に、おそるおそる、大学にいらしていただけませんでしょうか、と、お願いしましたのが、昨年夏のことでした。
国立音大ご出身で、現在招聘教授でもいらっしゃいます久石先生の特別講義のゲストとして出演いただけないかと思ったからです。
監督50周年記念作品「東京家族」は、山田監督と久石先生の初顔合わせ作品でもあり、その制作過程のお話、映画と音楽についてお聞きできる機会となれば、と思い、お願いしました。

大学には、テレビ局や報道陣の方々30人くらいも来て、会場は満員。
試験期間中でない時期に行いたかったのですが、ともにたいへんお忙しいお二人。ピンポイントで、今日この日に実現となりました。
庄野学長先生のご挨拶のあと、お二人のトークとミニコンサート。
東京家族」の音楽は、チェロとのデュオ1曲のみで、あとは、「千と千尋の神隠し」や「おくりびと」の音楽が披露されました。
「監督と作曲家は、1回では息がつかめない」
とおっしゃる久石先生。
今回の映画は2時間半の長さですが、その中で付けられた音楽は、25分という、異例の短さだったそうです。台詞や芝居を大事にされる監督のお考えのもと、「もっと薄く」と指示があり、分厚いオーケストラの音を薄くするのは難しく、このほかにもさまざまなご苦労があったそうです。
映画音楽が難しいのは、音楽で完成させてしまってはいけない総合芸術だから、というお話もありました。黒澤明監督がアメリカのある監督から感想を求められ、
「音楽がうるさいんだよ!」
と怒鳴った、というエピソードも紹介されました。
山田監督は、
「今は、情報があふれかえっている社会。でも映画では、情報の説明のようなことをしてはならない」
「韓国や中国の監督はよく勉強していて哲学がある」
とおっしゃり、ファッション的な感覚で役者になってしまうような現代日本の風潮を批判もしておられました。
久石先生も、
「音楽をやっている人間は勉強しない奴が多い。五嶋みどりさんなんかも大学で学位とったり(弟の龍君のほうだと思いますが・・・)、みんなも勉強しなきゃいけないよ!」
と、集まった後輩たちへカツを入れて終えられました。

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