日本ピアノ調律師協会関東支部新年会

アルカディア市谷で行われました日本ピアノ調律師協会関東支部の新年会にお招きいただき、ご挨拶させていただきました。

年の初めに「今年もよろしくピアノ弾きを支えてくださいませ!」ということでお伺いする新年会です。
昨年お世話になった調律師さん、近々の仕事の打ち合わせをする調律師さん、数年ぶりにお会いする懐かしい調律師さんなどと新春にお会いできるのは、楽しい時間です。

調律師さんなしに、演奏会を開くことはできず、調律師さんあってのピアノ弾きです。
絵を描くのは絵描きさんですが、絵具の色を作ってパレットに並べてくださるのが調律師さんですので、
いい絵が描けるかどうかは、調律師さんの腕次第、というのが真実です。

スタインウェイ会の鈴木会長さんがご挨拶の中で、日本の調律師さんのレベルの高さに触れておられました。たしかに、真面目で誠実で几帳面な調律師さんが多く、信頼できる調律師さんに囲まれて演奏していけることは、日本に住む演奏家にとってありがたいことです。歌うピアノ、パワフルなピアノ、優しいピアノ、温かいピアノ、とピアノにも様々な個性がありますが、変幻自在な音楽にどこまで沿うピアノにしてくださるか、それぞれの調律師さんが、技と経験と感覚と体力を武器に助けてくださいます。

毎年、趣向を凝らした余興が入る調律師協会新年会ですが、今年は、春風亭小朝師匠の3番弟子、春風亭ぴっかりさんの落語&かっぽれでした。

AKB48の予選を勝ち抜いたこともある、といううら若き女流落語家さんの登場に、男性陣から「いょ~!」と掛け声がかかります。かっぽれでは、「手拍子お願いします」のぴっかりさんの声でいっせいに皆が手を叩きましたが、そのタイミングとリズム感の良さには驚きました。一般にお酒の入ったパーティーでは、ずれたり、出遅れたり・・・ということがほとんどですが、さすが調律師さん、音に敏感ということでしょう。

「落語」と「演奏」は、共通点も多く、落語の好きなピアニストはたくさんおられます。
聴衆を「話」の中に引き込む術、間のとり方、動きや仕草など奥の深い世界なのだろうと思います。ぴっかりさん曰く「落語家として話しやすい場所と話しにくい場所がある」のだとか。演奏も同じです。

厳しい階級社会の落語界で、まだまだ女流の落語家さんの数は希少価値だそうです。
女性調律師さんの数も少しずつ増えてきているように思えますが、「ピアノ」が「電子ピアノ」の数より少なくなってしまうと「調律」という仕事の数自体も減ってしまいます。

音楽への愛情、音づくりへの執念、的確な技術、プロの仕事人としての誇り、そんな優秀な調律師さんの多い日本のピアノ界に明るい未来があることを願いながら、会場をあとにしました。

コメント

  1. yuko より:

    あがるま様
    コメントありがとうございます。
    たしかに、ピアニストは、音程が悪くて叱られることはありません。
    ハンガリーで、師匠が調律も切れた弦の直しも自分でされておられました。やり方を教わりましたが、師匠の指は、傷だらけ。
    そのとき、やはり、演奏会の調律は、調律師さんにお願いするべき、、、と確信しました。
    今も締め直しくらいはやりますが、コンサートは、調律師さんにお任せです。
    ピアノフォルテ、クラヴィコード、チェンバロを弾くときは、狂いやすいので、間際に自分で調律することもありますが、たまになのでかえって楽しい作業となり、ついつい時間を取りすぎてしまいます。

  2. あがるま より:

    チェンバロ弾きは自分で調律もするのにピアニストは楽ですね。でも考へたら音楽家は声楽でも管楽器でも弦楽器でも自分の楽器を自分で管理するのですからピアニストは音楽家と云ふよりも別の種族かも知れない!