新国立劇場 オペラ研修所公演に。
演目は、R.シュトラウス:「ナクソス島のアリアドネ」。
プロローグと劇中劇 という不思議なオペラですが、
生と死、愛と孤独、官能と貞節、喜劇と悲劇、
背反する要素が一つの舞台の中に入り乱れ、混沌とした中に、圧倒的なエネルギーでラストを迎えるというドイツ後期ロマン派作品です。
指揮の高橋直史さんの美しく確かなタクトとドイツ語に寄り添う細やかなサポートのもと、研修所の若き歌い手さんたちが奮闘。国立音大を優秀な成績で卒業した小堀勇介君や原璃菜子さん、種谷典子さんらが舞台で頑張っている姿は頼もしい限りでした。
小堀君や種谷さんとは、何度か音楽会でご一緒したこともありますが、一回り大きくなった感じでした。原さんは、私が国立音大にお世話になるようになった最初の年、あちらも新入生として入学。お互い「1年生」だったのですが、原さんの方がしっかりしていたような記憶があります。
このオペラ一番の見どころは、何と言ってもツェルビネッタの長大なアリアです。これぞリヒャルト・シュトラウス!という熟し切ったハーモニーと信じられないような音程の跳躍から生まれる官能の世界です。賛助出演の天羽明恵さんが、十八番のツェルビネッタ役を自由奔放に快演!
今回、演出家、三浦安浩さんのプログラム解説で知ったのですが、このアリア、1912年の初演版では、さらに長大でしかも全体が半音高く!書かれていたそうです。いつか、そちらのバージョンも聴いてみたいものです。
いずれにせよ、今年、生誕150年の記念年のリヒャルト・シュトラウス。多くの演奏会が行われ、多くの名演が生まれることでしょう。
リヒャルト・シュトラウスの歌曲が大好きな主人は、グルベローバのCDが擦り切れるのではないか、と思うほど聴いています。そんな主人にとっては、嬉しい記念年のはずですが、市長の激務の合間に、果たしてコンサートに行く時間がとれるかどうか?
コメント
けんさん、
DVD見てみますね。
シュトラウスの歌曲は、本当に素晴らしいですね。果物の実が最高に熟したときの甘い香りを音にしたようなハーモニー!痺れます。
ツェルビネッタのアリア、僕はこの曲をナタリー・デセイさんのDVDではじめて知って、その超絶技巧に圧倒されました。ついでに、デセイさんの、陸上競技の選手と見間違えるような鍛えられた腹筋を見て僕も腹筋を始めました(笑)。今はしていませんが…(笑)。
シュトラウスの歌曲では、四つの最後の歌が透明感にあふれていて、心が洗われるような気がしますね。