祈りと救いの中世

立川市役所の近く、国文学研究資料館。立川の大学に通いながら、これまで訪れたことがありませんでした。今日は、友人と一緒に、リハーサル前の2時間、ゆっくりと中世の日本文化に浸ることができました。

カタログ冒頭、ロバート・キャンベル館長さんの「ごあいさつ」によりますと「寺院に現存する貴重な古典籍を中心に、中世における進行の実態と文学との関わりについての紹介」とありました。

最初の展示、観普賢菩薩行法経。紺紙に金泥で書写された凛とした文字が目にはいります。
圓福寺所蔵の観心十界図は、見ごたえ充分。地獄と極楽を描いた宗教画ですが、心の文字を中心に、老いの坂。上半分には声聞・縁覚・菩薩・仏・人・天の6つの世界、下半分には修羅・畜生・餓鬼・地獄の4悪道。

慌ただしい日常の中で、立ち止まって我が身を振り返ったり、人生を顧みる機会がほとんどなく、ひたすらやるべきこと、やりたいことをやってきた毎日。自分はいったいどこの部分に属しているのだろう・・・とはたと考えてしまった次第です。

九相図(女性が亡くなったあとの様を描いたもの)や和泉式部の物語などを通じて、中世の女性観、宗教観、死生観などが浮かび上がります。

他にも室町時代、鎌倉時代の写本など、国宝、重要文化財クラスの作品が並び、こんな近くにこのような素晴らしい施設があることに驚きました。西洋の楽譜と本に囲まれる毎日の中で、国文学に目を見張り、新鮮な感動を覚えたひとときでした。

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