国際マスタークラスシリーズ ヤコブ・ロイシュナー先生@国立音大

小さい秋みつけた!
私は、毎年、紅葉が始まる時期に、秋限定の曲として?!チャイコフスキー《秋の歌》をコンサートのアンコールで弾くことにしています。

国立音楽大学ピアノ科、秋の国際マスタークラスシリーズでは、デトモルト音楽大学教授のヤコブ・ロイシュナー先生をお招きしてミニ・コンサートと公開レッスン(江澤聖子先生の通訳付き)が開催されました。
ハイドン:《アンダンテと変奏曲》でスタート。透明で神秘的な弱音がゆらめき、講堂の空気が最初の一音でピンと張り詰めたようになりました。ヘ短調のこの変奏曲、こんなにいい曲だったなんて・・・。
テクニックを感じさせないテクニック。和声の変化と装飾の美しさに溜息が出るほどでした。

続いてスクリャービン:左手のための小品op.9 とドビュッシー:喜びの島。
ウィーンもの、ロシアもの、フランスもの。時代ごと、国ごとの様式と美学を表現しつつ、共通するのは美音への追及。

続く公開レッスンでは、その種明かしとも言える細やかな指導が行われました。響かせ方、テンポの持っていき方、クレッシェンドのかけ方、声部のバランスなどに言及。
曲はリスト:バラード第2番とショパンのソナタ第3番 第1楽章。オーケストラのようなスケールのリストと、ため息や独白のようなショパンの世界にアプローチ。

私が10年以上担当している《演奏論》の履修生全員で参加し、翌週の授業では活発な意見・感想が出ました。《演奏論》は開かれた授業となっています。加盟大学間で単位互換制度を利用している他大学からの参加者をはじめ、附属高校から優秀な生徒さんも履修したり、卒業生や社会人の方の聴講も可能になっており、一つの教室の中に10代から70代まで、専門も様々。互いの意見に自分と異なる視点を見つけることは刺激になるように思えます。

高校生は「生まれて初めてプロの人のステージを聞いた」そうです。
インプットとアウトプットは演奏を志すものにとって車の両輪。幅広いレパートリーを丁寧に紡ぐ素晴らしいロイシュナー先生の演奏と公開レッスンを聞けたことはとてもいい機会となりました。

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