春の花

新型ウィルスの感染拡大に伴い、大学では3月19日の卒業式も規模を縮小して行われましたが、多くの晴れ着姿の嬉しい笑顔がSNSにアップされていました。受難の春に卒業シーズンとなってしまいましたが、これから社会人として第一歩を踏み出す彼らに、幸多かれと願うばかりです。そしてこの時期、感染拡大につながるような行為をやめ「うつさない」「うつらない」毎日を過ごしてほしいです。大丈夫だろう。。。と思って集まる飲み会などはしばらくの間、絶対に我慢!家族や友達思いの優しい心根のみんな・・きっとわかってくれると思っています。

私も3月1日、3日の演奏会出演、16日のCDジャケット撮影、17日の学士会館での講演、20日の入試審査などを終え自粛期間に入りました。愛する家族、親しい友人、様々な場でお会いする大切な方々にウィルスをうつさないためにも自らが感染しないようにしたいと考えています。そして3月から5月に出演予定だった協奏曲、室内楽、ソロの演奏会などのほとんど全ては延期・中止になりました。今できることを静かに粛々とこの時期しておきたいと思っています。

ウィーン旧市街グラーベン通りにある美しいペスト記念柱を最近よく思い出します。1670年代、ウィーンで10万人もの命を奪ったペストの終焉を記念して皇帝レオポルト1世が建てたものです。

ウィーンの街でその美しい姿を見るたび、医療も衛生状態もよくない時代の疫病はどんなに人々にとり恐ろしい存在だったことだろう、と思って通り過ぎていたのですが、2020年春、はるかに医学が進歩した現代においても世界を震撼させる事態が起きることを思い知りました。感染状況を示す数字が日に日に増えることへの不安が重くのしかかる毎日です。そして尊い使命感で医療現場に従事しておられる方々を思うと涙がでます。どんなにか大変な状況におられることでしょう。感謝の念が堪えません。

自然は変わらず、今年も春の花が咲き始めました。世界に平和な日常が戻る日が一日も早く来ますよう、祈っているところです。

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