馬場馬術のBGM

新型コロナウィルス感染拡大の中、組織委員会会長の交代、作曲担当者の辞任、ディレクターの解任など、波乱続きのスタートを切った東京五輪ですが、連日繰り広げられるアスリート達の熱い闘い、そして歴史を塗り替えるような、目覚ましい日本選手達の大活躍には、思わず見入ってしまいます。柔道、卓球、水泳、陸上、バトミントン、野球などお馴染みの競技の他、スケボー、サーフィンなどオリンピック種目だと知らなかった競技もあり驚いています。

先日は、馬事公苑で開催された馬場馬術の競技を生まれて初めて見ました。
馬事公苑ハイムに住んでおられた先生のもとに、中学2年生から高校3年までピアノのレッスンに毎週通っていたので、私にとり懐かしい地名です。

馬場馬術は、男女別になっていないので、様々な乗り手が年齢、性別に関係なく登場します。圧倒的な馬術大国ドイツが当然のようにメダルを獲得。美しき勝者イェシカさんの優雅な佇まいには、惚れ惚れとしました。

踵や指先の微細な動きで馬に指示を送っているのですが、素人の私からは、どう目を凝らしても、何もしていないようにしか見えません。
そういえば、大バッハが演奏するとき「まるで弾いていないように弾いていた」と伝えられています。無駄な動きが一切ない究極のパフォーマンスから神業的演奏が繰り広げられたのでしょう。

今回、優秀な選手の馬が、何かに驚き逆走した瞬間はゾッとしました。カメラのフラッシュ、ビニールコートのガサガサした音にも反応する繊細な馬達。気の毒な一瞬の出来事でした。
「brave(勇敢)、sensitive(敏感)、careful(注意深い)が、いい馬の条件」・・・かつて障害馬術で全日本チャンピオンを獲得した親友の言葉です。敏感な馬への配慮が必要な種目だということを実感したアクシデントでした。

それにもう一つ驚いたのが、BGMがガンガンかかっていた事です。解説者のお話では「BGMがかかるようになったのは数年前から。主催者によって音楽が選ばれ、それによって先入観を作ることができる」とのこと。ますますもってわからなくなりました。先入観はその場で作るものでなく、もともとあるものではないのでしょうか。それに、馬がその音楽に合わせて踊るわけでもないのですから、何のためのBGMなのか・・・気になってしまいました。

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