デームス先生との「邂逅」

「デームス先生のピアノが3台あります。」とメッセージをいただき、横浜のピアノクリニックヨコヤマにお伺いしました。横山ペテロさんとは、ガーベルクにある故イエルク・デームス先生の山荘で15年ほど前にお会いして以来。。。久しぶりの再会でした。

工房では、美しい奥様、そして調律の大森智浩さん(国立音大出身)がピアノの調整のお仕事をしておられ、ピアノ25台ほどが所狭しと並んでいました。

アメリカ人の画家によるデームス先生の絵が奥の壁に飾られています。ポップでカラフルでフレンドリー!ちょっとデームス先生のイメージとはかけ離れていましたが、先生がご機嫌な時の笑い声を思い出しました。

デームス先生がホームコンサートや作曲に使っておられたお気に入りのブリュットナー(1905年製ジュビリー・モデル)は、フレームも美しく甘美でロマンティックな音を奏でてくれます。足や譜面台も凝った装飾が施されており、見た目も典雅。

ドビュッシーやベートーヴェンを弾かせていただき、しばし天国におられるデームス先生との邂逅の時間。鍵盤を通じて先生の「気」が伝わってくる感じで、指が精霊の導きで動いていくような不思議な感覚でした。

ペテロさんの調律は「声楽的」で歌うような音色でした。ハンマーが弦を打った後、次の音までつながっていくような・・・とでも言いましょうか。最初はいつも聴こえない音が聴こえてきて「え?」という感じなのですが、4小節ほど弾くと「歌うピアノ」に自然に慣れてきて「デームス先生節?」に近づくかのよう。

楽器は魂を宿し、調律は精神を伝える。そんなことを思いながら、工房を失礼しました。

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